1970年代

作品ポスター

作 品 解 説

スタッフ・キャスト
ゴジラ対ヘドラ

「ゴジラ対ヘドラ」

昭和46年(1971) 7月24日公開/併映「わらしべ長者」「帰ってきたウルトラマン」「いなかっぺ大将」
                          「みなしごハッチ」
観客動員数174万人

駿河湾の富士にほど近い河口。そこでオタマジャクシに似た奇妙な生物が見つかる。やがて原因不明のタンカー事故が相次ぎ、そしてある夜工場の排煙を求めて怪獣が上陸してくる。そこへゴジラが現われ二大怪獣の死闘が繰り広げられる。海洋学者矢野は、怪物が宇宙鉱物ヘドリュームとヘドロから誕生したことをつきとめ、矢野の息子研によって怪獣はヘドラと名づけられる。やがて飛行能力を身につけたヘドラは硫酸ミストを撒き散らしながら中京工業地帯を襲う。自衛隊は矢野のアイデアにより電流によるヘドラ乾燥作戦を実行に移す。二大怪獣の戦いで一旦は電線が切れるが、ゴジラが放射能火炎を吐き、電極板の間でヘドラは土くれに変わる。その時、土塊の中からヘドラの本体が飛び出し、飛翔して逃げる。ゴジラも放射能火炎で追跡飛行し、ついにヘドラを倒す。
ゴジラは水平線の彼方へと姿を消す。だが、泡立つ海の中からもう一体のヘドラが姿を見せていた。

ゴジラ久々の単体怪獣対戦モノ。公害問題という当時の社会背景からアイデアを得た怪獣ヘドラは一部に熱狂的なファンがいるらしい。公害から生まれた怪獣ヘドラと放射能が生んだ怪獣ゴジラはある意味兄弟のようなものかもしれない。「♪水銀、コバルト、カドミウム〜」というテーマ曲もかなりインパクトがある。尚、この作品の前年、円谷英二氏が死去されている。

ゴジラ・・・・・・・・中島春雄
ヘドラ・・・・・・・・・中山剣吾

矢野研・・・・・・・・川瀬裕之
矢野徹・・・・・・・・山内明
矢野敏江・・・・・・木村敏江
毛内行雄・・・・・・柴本俊夫
富士宮ミキ・・・・・麻里圭子
伍平じいさん・・・・吉田義夫

製作・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・板野義光
特殊技術・・・・・・中野昭慶
脚本・・・・・・・馬渕薫・板野義光

地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン

「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」

昭和47年(1972) 3月12日公開/併映「ミラーマン」「帰ってきたウルトラマン」「かしの木モック」
                          「天才バカボン」「みなしごハッチ」
観客動員数178万人

売れない漫画家小高源吾は、友江トモ子の紹介で建設中の「世界子供ランド」の仕事にありつく。小高は仕事の帰りに女が落とした奇妙なテープを拾う。そのテープは再生しても意味不明の電子音が流れるだけだった。だが、怪獣島のゴジラはその音に反応し、アンギラスを偵察に向かわせる。世界子供ランド建設委員会の実体は地球征服を企むM宇宙ハンター星人であり、彼らは邪魔な怪獣島の怪獣達を抹殺しようとしていたのだ。彼らは既に死んだ人間の肉体でカモフラージュしており、その正体はゴキブリに酷似していた。
源吾からテープを奪ったM宇宙ハンター星人・クボタはゴジラタワーの装置にテープをセットし、宇宙からキングギドラとガイガンを呼び寄せた。防衛隊の攻撃をものともせずに暴れまくる二大宇宙怪獣。そこにゴジラとアンギラスが現れ、4頭の死闘が展開される。レーザー攻撃で応戦するゴジラタワーは源吾たちの活躍により破壊され、ゴジラとアンギラスにより、遂に宇宙怪獣たちは宇宙に逃げて行くのだった。

両手にカッター、腹にノコギリと武器を満載したサイボーグ怪獣・ガイガンがキングギドラを引きつれて登場する。対するゴジラとアンギラスは「フキダシ」で会話し、宇宙怪獣に立ち向かう。東宝チャンピオンまつりの主な観客層を意識し、明快な演出がなされている。作品中登場する人工のゴジラともいうべきゴジラタワーが後のメカゴジラを生み出す発想の原点かもしれない。

ゴジラ・・・・・・・・・・中島春雄
アンギラス・・・・・・・大宮幸悦
キングギドラ・・・・・・伊奈貫太
ガイガン・・・・・・・・・中山剣吾

小高源吾・・・・・・・・石川進
友江トモ子・・・・・・・菱見百合子
志摩マチ子・・・・・・・梅田智子
高杉正作・・・・・・・・高島稔
志摩武士・・・・・・・・村井国夫
クボタ・・・・・・・・・・・西沢利明
ハンター星人指令・・藤田漸

製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・福田純
特殊技術・・・・・・・・中野昭慶
脚本・・・・・・・・・・・・関沢新一

ゴジラ対メガロ

「ゴジラ対メガロ」

昭和48年(1973) 3月17日公開/併映「パンダコパンダ」「ジャングル黒べえ」「飛び出せ!青春」
観客動員数98万人

青年科学者伊吹吾郎は電子ロボットを開発していたが、ある日謎の侵入者に襲われる。その侵入者は研究室に海底3000キロの地層と同じ赤い砂を残して行った。侵入者の正体は、海底王国シートピアから派遣された工作員でシートピアは地上人の度重なる核実験に王国が崩壊を始めた為、地上攻撃を開始したのだった。
完成したロボット「ジェット・ジャガー」はシートピアの手に奪われ、シートピア長老アントニオが解き放った王国の守護神メガロを先導する為に利用された。伊吹は弟六郎と友人陣川とともにジェット・ジャガーの奪取に成功、ゴジラの応援を要請するためにジェット・ジャガーを怪獣島に派遣する。一方、アントニオもハンター星人に通信を送り、ガイガンを呼び出した。この人類の危機に、ジェット・ジャガーは自我に目覚め、巨大化してゴジラとともに怪獣達に立ち向かった。死闘の末、ガイガンは宇宙へ逃げ、メガロもまたシートピアの地割れの中に姿を消した。
戦いの後、ジェット・ジャガーは元の大きさに戻り、不思議な自我も消え去っていた。

ウルトラマンに代表される巨大ヒーローブームの影響を受けて、ゴジラ映画に初めてヒーローロボットが登場する作品。また、昆虫怪獣メガロもまた「昆虫ブーム」を受けてのことらしい。製作期間30日という超ハードスケジュールでつくられた作品ながら、メガロによるダム破壊のシーンは素晴らしい。
この作品中、ゴジラが木枯らし紋次郎よろしく咥え楊枝(大木?)で見栄を切るシーンがある。

ゴジラ・・・・・・・・・・中島春雄
メガロ・・・・・・・・・・・伊達秀人
ガイガン・・・・・・・・・中山剣吾
ジェット・ジャガー・・・駒田次利

伊吹吾郎・・・・・・・・佐々木勝彦
伊吹六郎・・・・・・・・川瀬裕之
陣川博・・・・・・・・・・林ゆたか
アントニオ・・・・・ロバート・ダンハム
黒服の男・・・・・・・・富田浩太郎
灰服の男・・・・・・・・大月ウルフ

製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・福田純
特殊技術・・・・・・・・中野昭慶
原作・・・・・・・・・・・・関沢新一
脚本・・・・・・・・・・・・福田純

ゴジラ対メカゴジラ

「ゴジラ対メカゴジラ」

昭和49年(1974) 3月21日公開/併映「新造人間キャシャーン」「侍ジャイアンツ」「アルプスの少女ハイジ」
                          「ウルトラマンタロウ」「ハロー!フィンガー5」
観客動員数133万人

沖縄の史跡・安豆味城で舞い踊る那美は、突如怪獣が街を襲うビジョンを見て倒れる。その後、沖縄海洋博の建築技師清水は工事現場の洞窟から奇妙な壁画と置物を発見し、考古学者金城冴子とともに解読を試みる。その壁画には戦う怪獣が描かれていた。一方、清水の弟正彦は、玉泉洞で見つけた謎の金属片を宮島博士のもとで分析、それがスペース・チタニウムと呼ばれる宇宙金属であることを知る。
翌日、富士が噴火し火口から飛び出した巨岩からゴジラが姿を現した。ゴジラは味方であるはずのアンギラスを倒すが、そのときに何故かゴジラの身体からスペース・チタニウムが飛び散った。次に石油コンビナートを襲おうとするゴジラ。だが、そこにもう一体のゴジラが姿を現した。ゴジラ対ゴジラの戦いの中、一方のゴジラが青白い炎とともにその正体を表わした。それは、宇宙金属で造られたメカニック怪獣・メカゴジラだった。ゴジラとメカゴジラの初戦は相討ちに終わる。メカゴジラを操るブラックホール第3惑星人は宮島博士を誘拐し、メカゴジラの修復に協力させようとする。だが、インターポールの南原らの活躍で博士たちは救い出される。同じ頃、あの置物と那美の祈りの歌により伝説の怪獣キングシーサーが蘇り、復活したメカゴジラに戦いを挑んだ。そこにゴジラも現われ、2体の怪獣によりメカゴジラは破壊され、ブラックホール第3惑星人の秘密基地も爆発し消失した。

ゴジラ生誕20周年記念作品として製作された本作には、全身を金属と武器で覆ったメカニック怪獣・メカゴジラが登場し、ゴジラと死闘を展開する。その身体から発射されるビームやミサイルは迫力満点で多いにゴジラを苦しめた。
ストーリーも返還間もない沖縄を舞台にしたサスペンスフルな物語で、記念作品としてふさわしい出来となっている。
作者も母親に連れられて劇場に見に行った記憶がある(^_^;)。

ゴジラ・・・・・・・・・・・・図師勲
メカゴジラ・・・・・・・・・森一成
キングシーサー・・・・・久須見護
アンギラス・・・・・・・・・同  上

清水敬介・・・・・・・・・大門正明
清水正彦・・・・・・・・・青山一也
金城冴子・・・・・・・・・田島令子
国頭那美・・・・・ベルベラ・リーン
宮島博士・・・・・・・・・平田昭彦
宮島郁子・・・・・・・・・松下ひろみ
和倉博士・・・・・・・・・小泉博
南原・・・・・・・・・・・・・岸田森
柳川・・・・・・・・・・・・・草野大悟
黒沼・・・・・・・・・・・・・睦五郎

製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・福田純
特殊技術・・・・・・・・中野昭慶
原作・・・・・・関沢新一、福島正実
脚本・・・・・・福田純、山浦弘靖

メカゴジラの逆襲

「メカゴジラの逆襲」

昭和50年(1975) 3月15日公開/併映「はじめ人間ギャートルズ」「アルプスの少女ハイジ」「サザエさん」
                          「アグネスからの贈りもの」「新八犬伝」
観客動員数97万人

ブラックホール第3惑星人ムガールは、地球征服の野望を捨ててはいなかった。彼は地球に新たな協力者・真船博士を見つけていた。博士は、小笠原で発見した恐竜を自由にコントロールする研究を発表し、学会を追放されていたのだった。「恐竜」という言葉を残して消息を絶った深海調査艇を調査をしている海洋開発研究所の一之瀬は真船博士を訪ねるが、応対に出た真船の娘・桂は彼を追い返した。一之瀬は桂に惹かれるが、桂は実験中の事故によりブラックホール第3惑星人の手でサイボーグに改造されていた。
コントロール装置を完成させた真船博士はチタノサウルスを操り、横須賀を破壊し始めた。そこにゴジラが現れ、闘いが始まる。その最中、桂が重傷を負い攻撃は一旦中断される。ムガールは桂を助ける代わりに彼女にメカゴジラのコントロール装置を組み込むように博士に迫る。遂にメカゴジラは完全復活を果たし、チタノサウルスとともに再び横須賀を襲う。今度はさしものゴジラも苦戦した。
真船邸の地下研究所に捕らえられた一之瀬は、桂の心に訴える。そこにインターポールの村越が助けにくるが、桂は村越の銃弾を受け倒れる。ムガールは真船博士を撃つと逃げ出すが、村越によって倒された。一之瀬の言葉に心打たれた桂は、自らの身体に銃を向けた。
コントロール装置が破壊されたメカゴジラはもはやゴジラの敵ではなかった。ゴジラはメカゴジラを倒すと、水平線の彼方へと静かに消えて行った。

メカゴジラシリーズの第2弾であり、本田猪四郎監督の遺作ともなった作品。新怪獣チタノサウルスはスマートな爬虫類型怪獣で、そのシルエットはこれまでの怪獣と異なるデザインがなされている。
サイボーグ少女・桂の悲劇は、本田監督作品に共通した「哀しさ」を感じさせる。だが、この作品も興行的にはあまり振るわず、この作品を最後にゴジラは9年間の眠りにつくことになる。

ゴジラ・・・・・・・・・・・・河合徹
メカゴジラ2・・・・・・・・森一成
チタノサウルス・・・・・・二家本辰巳

一之瀬明・・・・・・・・・・佐々木勝彦
真船博士・・・・・・・・・・平田昭彦
真船桂・・・・・・・・・・・・藍とも子
村越二郎・・・・・・・・・・内田勝正
山本ルリ・・・・・・・・・・麻里とも恵
ムガール・・・・・・・・・・睦五郎
津田・・・・・・・・・・・・・・伊吹徹
防衛隊司令官・・・・・・・佐原健二

製作・・・・・・・・・・・・田中友幸
監督・・・・・・・・・・・・本田猪四郎
特技監督・・・・・・・・中野昭慶
脚本・・・・・・・・・・・・高山由紀子