2000年代

作品ポスター

作 品 解 説

スタッフ・キャスト
ゴジラ×メガギラス G消滅作戦

「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」

平成12年(2000)12月16日公開 観客動員数135万人

1954年、水爆実験により誕生した魔獣ゴジラは首都・東京を襲った。成す術も無く首都を蹂躙された日本政府は首都を大阪に移し、新しい歩みを始めた。
1966年、稼動を始めたばかりの茨城県東海村原子力発電所がゴジラに襲われるに至り、日本政府は原子力発電の永久放棄を決定し、新しいエネルギー源の開発に注力した。その結果誕生した「プラズマエネルギー発電」は夢のクリーンエネルギーとして、人々の期待を担った。
しかし、1996年大阪、ゴジラを引き寄せないはずのクリーンエネルギーファクトリーはゴジラの襲撃を受け、宮川率いる自衛隊特殊部隊も、辻森桐子、奥村知治の2名を残して全滅した。
そして、2001年。日本政府は防衛庁内に特別G対策本部を設け、マイクロブラックホールでゴジラを次元の彼方に消し去る「G消滅作戦」を実行しようとしていた。対G戦闘部隊「Gグラスパー」の隊長となった桐子は、秋葉原でジャンク屋を営む、マイクロマシンの天才・工藤元をスカウトした。
工藤と、工藤の師でありMBH砲の開発責任者でもある吉沢佳乃の手により、MBH砲は完成し、山梨県白州で
実験が行われた。だが、その実験は時空の歪みを生み、誰も気付かぬうちに時空の向こう側から一匹のメガニューラを呼び寄せてしまった。
たまたま実験を目撃した小学生・早坂淳は実験場近くで不思議な卵を拾う。東京に引っ越してきた淳は、その不気味な卵を渋谷近くの排水溝に捨ててしまう。
東京の下水の中で大量発生した幼虫メガヌロンは、人を襲い、地下水脈を決壊させ渋谷を「渋谷湖」に変えた。
完成したMBH砲はディメンション・タイドと名づけられ、奇岩島に誘導されたゴジラに向けて初の攻撃がなされようとしていた。だが、そこにメガヌロンが成長したメガニューラの大群がゴジラからエネルギーを吸収するために襲い掛かった。熱線でメガニューラを退けたゴジラ目掛けて発射されるMBH。だが、微調整の済んでいないMBHは僅かに逸れ、ゴジラ消滅には至らなかった。
生き残ったメガニューラの群れは、渋谷湖の湖底に眠る一匹の巨大なメガヌロンにゴジラから吸収したエネルギーを与えた。メガヌロンは脱皮し、究極の戦闘体・超翔竜メガギラスとなり、羽根の振動による超高周波で渋谷を破壊するといずことも無く消え去った。
やがて、奇岩島から姿を消したゴジラは、東京目指して現れた。何故ゴジラは東京を目指すのか?桐子は疑問を抱きつつも、お台場に上陸したゴジラ攻撃に向かう。
渋谷から姿を消したメガギラスもまた、テリトリーを広げる為の邪魔になるゴジラを倒すべくお台場に現れる。メガギラスと死闘を繰り広げるゴジラ。死力を尽くした戦いの結果、ゴジラは辛くも勝利するのだった。
そのゴジラ目掛けて、MBHの発射が迫る。だが、メガギラスの超高周波で不具合を起こしたデメンションタイドはコントロールを失い、地上目掛けて落下をはじめた。
ゴジラは政府が秘密裏に開発を続けていたプラズマエネルギーを目指していたことを知った桐子は、G対本部長・杉浦に怒りの鉄拳を見舞うと、最後の攻撃のために一人戦闘機グリフォンで飛び立つ。
自らの機体にMBHをロックオンさせた桐子目掛けて、工藤の手により最後のMBHが発射された。桐子の脱出直後、ゴジラと激突したグリフォンにMBHが迫る。そして、全てが消滅した。
だがその数ヵ月後、再び工藤の前に現れた桐子の口から、東京の地下に謎の振動が確認されたことが告げられた。地震とともに、咆哮を上げ早坂淳の前に現れたそれは・・・。

自ら「一番のゴジラファン」を自称する手塚監督の第1回監督作品ともなったこの作品は、正しくゴジラ映画史に残る大傑作となった。
戦うヒロイン、超兵器MBHなど、空想科学特撮映画のテイストと「明るく楽しい東宝映画」のキャッチフレーズがはまっていた頃の東宝特撮映画の雰囲気を持ち、尚且つ、CGなど新しい技術も取り入れられ、20世紀を締めくくり、21世紀を迎えるに相応しいゴジラ映画が誕生したことを心から喜びたい。

ゴジラ・・・・・・・・・喜多川務
メガギラス・・・・・・渡邊 実

辻森桐子・・・・・・・田中美里
工藤元・・・・・・・・・谷原章介
吉沢佳乃・・・・・・・星由里子
杉浦基彦・・・・・・・伊武雅刀
永島敏行・・・・・・・宮川卓也
山口剛・・・・・・・・・中村嘉葎雄
新倉誠・・・・・・・・・勝村政信
美馬和男・・・・・・・池内万作
奥村知治・・・・・・・山下徹大
細野精一・・・・・・・山口馬木也
早坂淳・・・・・・・・・鈴木博之

製作・・・・・・・・・・・富山省吾
監督・・・・・・・・・・・手塚昌明
特殊技術・・・・・・・鈴木健二
脚本・・・・・・柏原寛司、三村渉
デザインワークス・・・西川伸司
造形・・・・・・・・・・・・若狭新一

音楽・・・・・・・・・・・大島ミチル
ゴジラテーマ曲・・・伊福部昭

ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃

「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」

平成13年(2001)12月15日公開/併映「とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険」
観客動員数240万人

グアム島沖で米原子力潜水艦が突如消息を絶った。救助活動に派遣された防衛海軍の広瀬中佐は海底で蠢く巨大生物の背びれを目撃する。
だが防衛軍は、楽観的な観測と政治的な配慮からゴジラへの備えを軽視する決定をする。昭和29年のゴジラ襲撃で両親を失った准将・立花はこの決定に不安を抱く。
同じ頃、日本各地で不思議な事件が続発する。新潟県妙高山ではトンネル崩落事故に暴走族の一団が巻き込まれ、また鹿児島県池田湖では11人の若者が繭に包まれて死んだ。そのいずれもに巨大な生物が関与していた。
マイナーTV局・デジタルQの立花由里は、サイエンスライターの武田から提供された「護国聖獣伝記」に記された、聖獣「婆羅護吽」「最珠羅」が眠る場所とこれらの事件が起きた場所が一致することを突き止める。由里は次なる聖獣「魏怒羅」の眠る場所・富士樹海に取材に向かい、そこで謎の老人・伊佐山と出会う。
伊佐山は由里たちにゴジラの脅威が迫っていること、護国三聖獣を目覚めさせゴジラに立ち向かわせなければならないことを語る。
やがて伊佐山の言葉どおり、バラゴンが本栖警察署近辺に姿を現した。そして、ゴジラもまた、孫の手島を襲撃した後、焼津港から本土に上陸、清水市を壊滅させて東京方面に向かって侵攻し始めた。
箱根・大涌谷で激突するバラゴンとゴジラ。だが、ゴジラの驚異的なパワーの前にバラゴンは敗れ去り、放射能火炎を浴びて爆発四散してしまう。現場で取材を続けていた由里も、この時傷を負ってしまう。
バラゴンの最後の叫びは、富士樹海に眠るギドラを覚醒させようとしていた。
防衛軍はゴジラを倒すために攻撃を繰り返すが、ゴジラの行く手を阻むことは出来なかった。立花准将は、昭和29年に本当に防衛軍がゴジラを倒したのか、日野垣書記官に疑問を投げかける。日野垣の口から語られたのは、ゴジラを倒したのはある青年化学者の作った毒化合物であり防衛軍はゴジラの前に無力であった、という防衛軍の存亡に係る秘密だった。
池田湖に浮かぶ巨大な繭からモスラ成虫が誕生し、一路ゴジラを目指して飛び立った。
防衛軍は横浜を首都防衛線に定め、ゴジラ攻撃には立花の進言によりD-03削岩弾を使用することになった。 そして立花准将も現場指揮を執るため、護衛艦「あいづ」に乗り込んだ。
遂に横浜に姿を現したゴジラとそこに飛来したモスラが戦いを繰り返す。それは防衛軍をも巻き込む激しいものだった。だが、防衛軍は攻撃の時をじっと耐えて待っていた。
モスラに続き、地を割ってギドラが横浜に姿を現した。激突する三大怪獣。この時を待っていた立花准将は全軍に攻撃命令を出す。だが、ギドラは倒れ、防衛軍の攻撃もゴジラには効かず、逆に怒り狂ったゴジラの放射火炎で防衛軍は壊滅寸前まで追い込まれた。
ゴジラの放射火炎に四散したモスラは、光の粒子となりギドラに降り注いだ。光に包まれたギドラは覚醒し、千年竜王キングギドラとなった!キングギドラの攻撃を受けたゴジラは横浜港の海中へ没し、ギドラもその後を追って海へ入った。
立花准将は、特殊潜航艇「さつま」にD-03削岩弾を取り付け、海中のゴジラに捨て身の攻撃を敢行しようとする。由里もまた、その光景を最後まで取材しようとベイブリッジのムーンウォークで懸命の放送を続けようとする。しかし、そこへゴジラの放射熱線が襲い掛かり、由里と武田は海へと投げ出されてしまう。
海中から海上へ、ゴジラとキングギドラの戦いは続く。引力光線を浴びせるギドラ。だが、ゴジラはそのエネルギーをも吸収し、ギドラに必殺の放射火炎を浴びせ返すと、ギドラは大爆発を起こし炎の中に消えていった。
その炎の中に、三聖獣の姿がゆらめきながら現れたかと思うと、その姿は粒子となってゴジラの体内に消えていった。
静かに海中に没していくゴジラ。海中でじっと攻撃の機会を窺がっていた立花准将は、さつまをゴジラの口に向けた。
再び海上に姿を現したゴジラはようやく岸にたどり着いた由里と武田めがけて放射熱線を吐きかけようとする。その時、ゴジラの皮膚を突き破って体内から出てきたD-03削岩弾が爆発、ゴジラに傷を負わせた。立花准将の捨て身の攻撃が成功したのだ!
それでもなお放射能火炎を吐こうとするゴジラの傷口から熱線が噴出する。苦しみもがくゴジラが最後の熱線を吐こうとした瞬間、そのエネルギーはゴジラそのものを粉砕・消失させたのだった。
奇跡的に生還した立花准将を、敬礼で迎える由里。
だが、海中には鼓動を刻みつづける不死の心臓が残されていた・・・。

平成ガメラ三部作の金子修介監督が満を持してメガホンをとったゴジラ映画。「ゴジラは太平洋に散った英霊を宿している」「ヤマトを護る聖獣」等、新しい設定を盛り込み公開前からファンの話題を集めた。
史上かつて無かった恐いゴジラ、宇宙怪獣でないキングギドラ、金子組を総動員したかのようなカメオ出演、75年以来の併映作品付きなど、とにかく「語るべき事柄」に恵まれたゴジラ映画である。

ゴジラ・・・・・・・・・・吉田瑞穂
キングギドラ・・・・
・大橋 明
バラゴン・・・・・・・・太田理愛

立花由里・・・・・・・新山千春
立花泰三・・・・・・・宇崎竜童
武田光秋・・・・・・・小林正寛
伊佐山嘉利・・・・・天本英世

門倉春樹・・・・・・・佐野史郎
丸尾 淳・・・・・・・・仁科 貴
江森久美・・・・・・・南 果歩
三雲陸将・・・・・・・大和田伸也
広瀬中佐・・・・・・・渡辺裕之
小早川中佐・・・・・葛山信吾
日野垣書記官・・・村井国夫
宮下大佐・・・・・・・布川敏和
部隊長・・・・・・・・・角田信朗
山口友恵・・・・・・・篠原ともえ

製作・・・・・・・・・・・富山省吾
監督・・・・・・・・・・・金子修介
特殊技術・・・・・・・神谷 誠
脚本・・・・・・・・・・・金子修介
           長谷川圭一
           横谷昌宏
造形・・・・・・・・・・・品田冬樹

音楽・・・・・・・・・・・大谷 幸
ゴジラテーマ曲・・伊福部昭

 

ゴジラ×メカゴジラ

「ゴジラ×メカゴジラ」

平成14年(2002)12月14日公開/併映「とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス」
観客動員数170万人

1999年、千葉・館山で特生自衛隊が極秘任務を遂行したその数日後、台風13号の暴風雨の中、ゴジラが房総
半島に上陸した。出動した特生自衛隊は90式メーサー砲車でゴジラを迎え撃つが、ゴジラの圧倒的なパワーの前に
敗退を余儀なくされた。
ゴジラ戦の最中、メーサー砲オペレーターの家城茜三尉はゴジラの熱線を回避しようとして、葉山二尉の乗る73式
小型車に激突、崖下に墜落した小型車は葉山もろともゴジラに踏み潰されてしまう。
ゴジラの脅威に、日本政府は柘植真智子首相のもと「対G特殊兵器開発特別法案」を可決、 五十嵐科学技術庁
長官を中心として究極の対G兵器「機龍」開発に着手した。
開発には日本の頭脳とも言うべき優秀な科学者として、ロボット工学の赤松博士、マイクロウェーブの専門家・山田
博士、 低温物理学の菅野博士、そして人工生物学の湯原徳光博士らが集められた。

そして2003年、三式機龍=メカゴジラは完成を見た。葉山の死の責任を取って資料課に転属になっていた茜のもと
を、かつての上官である富樫二佐が訪れ、茜の機龍隊への配属を告げた。
茜と機龍隊は直ちに防衛庁技術研究所に着任し訓練に入った。だが、機龍隊には殉職した葉山の弟がおり、兄の死
は茜の責任として、茜に冷たく当たるのだった。
一方、湯原博士は茜を気に入るが、茜は湯原の娘である沙羅のことを気にかける。弟と共に母親を亡くした沙羅に、
茜はかつての自分の姿を重ねていた。

完成した三式機龍が全世界に向けて披露されていたその時、ゴジラが八景島に姿を現した。特生自衛隊は式典を
中止し、直ちに三式機龍をゴジラに向けて出撃させた。
茜のオペレートの下、機龍の兵装がゴジラに向かって火を吹くが、不思議とゴジラは微動だにしなかった。そのゴジラが
咆哮を上げると、機龍のコントロールシステムが全停止してしまう。
ゴジラは海へと姿を消し、機龍を回収しようとAC-3しらさぎが機龍に近づいたその時、機龍が突如として暴走し始め
る。暴走した機龍はエネルギーが尽きるまで八景島周辺を破壊し尽くした。

暴走の原因は、機龍の骨格として使用された初代ゴジラの骨同様に、機龍のコントロールシステムに用いられたDNA
コンピューターにゴジラのDNAが用いられていたためだった。ゴジラの咆哮がDNAコンピューターに干渉したのだ。
科学陣は機龍の改良に取り掛かるが、暴走の責任を問われた五十嵐内閣は機龍の封印を決定してしまう。

ゴジラが品川に再び姿を現した。特生自衛隊の必死の防戦にもかかわらず、通常兵器ではゴジラにまったく歯が立た
なかった。富樫の要請に応えて、ここにきて五十嵐総理は機龍の再出撃を決定する。
病院に迫るゴジラに対して、茜は機龍をしらさぎから空中で切り離し、ゴジラを迎え撃った。街を揺るがせてぶつかり合う
機龍とゴジラ。機龍の火力の前に劣勢となったゴジラに、機龍の最終兵器・アブソリュートゼロが発射される。
だが、機龍はゴジラの放射熱線を受け転倒。外れたアブソリュートゼロは品川のビル群を破壊してしまう。
茜は遠隔操作不能に陥った機龍に直接搭乗し、ゴジラとの最終対決に臨む。関東中の電力が機龍に注がれ、機龍
は再び立ち上がる。が、 ゴジラの放射熱線に怯む機龍、だがそこへ葉山の操縦するしらさぎが割って入り、ゴジラの口
へしらさぎの機体を突っ込んだ! 自分ごとゴジラを撃てと叫ぶ葉山。
茜はアブソリュートゼロを発射状態のままゴジラを抱え込み、海へ向かってブースターを噴かせた。海に没する巨体。
と、海中から巨大な水柱が上がり、たちまちのうちに巨大な氷柱へと変わっていく。茜が水中でアブソリュートゼロを使用
したのだった。

やがて、崩れた氷柱の中から大きく傷ついたゴジラが姿を現す。ゴジラは倒されていなかったのだ!だが、ゴジラは静かに
海の彼方へと去っていった。後方には、その姿を見送る茜とゴジラ同様に傷ついた機龍の姿があった。
ゴジラとの激闘の後日、湯原からの誘いを快諾した茜は、修復された機龍に向かい敬礼を捧げるのだった。

「ゴジラ×メガギラス」でゴジラファンからの高い評価を受けた手塚監督のゴジラ映画第二弾は冒頭の対ゴジラ戦から終
盤のゴジラとメカゴジラの戦いまで、観客の目と心を捕えて離さない傑作となった。
ヒロインに人気タレントの釈由美子を抜擢したことで、公開前から公開後までずっとマスコミに注目された映画でもあった
メジャーリーグへの移籍のため、「巨人軍の松井」の姿が観られるのもこの映画だけである。

ゴジラ・・・・・・・喜多川務
メカゴジラ・・・・石垣広文

家城茜・・・・・釈由美子
湯原徳光・・・宅麻 伸
湯原沙羅・・・小野寺華那
赤松伸治・・・白井 晃
菅野吾郎・・・六平直政
山田 薫・・・・萩尾みどり
柘植真智子・・水野久美
五十嵐隼人・・中尾 彬
富樫二佐・・・・高杉 亘
葉山三尉・・・・友井雄亮
一柳幕僚長・・中原丈雄
土橋・・・・・・・・上田耕一

製作・・・・・・・・富山省吾
監督・・・・・・・・手塚昌明
特殊技術・・・・菊地雄一
脚本・・・・・・・・三村渉
デザインワークス・西川伸司
          丸山 浩
造形・・・・・・・・若狭新一

音楽・・・・・・・・大島ミチル

ゴジラ モスラ メカゴジラ 東京SOS

「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」

平成15年(2003)12月13日公開/併映「とっとこハム太郎 ハムハムハグランプリン オーロラ谷の奇跡」
観客動員数110万人

機龍とゴジラとの壮絶な戦いが終わって1年経った2004年、米空軍のレーダーに日本に向かう謎の巨大飛行体が
キャッチされる。直ちに空自のF15がスクランブル、威嚇射撃を試みるも謎の巨大飛行体はいずこかへ消えてしまう。

その1ヵ月後、軽井沢の別荘で甥の義人、孫の瞬とともに休暇を過ごしていた言語学者の中條信一のもとへ43年
ぶりにインファント島の小美人がモスラとともに姿を顕わす。彼女たちは、人間が初代ゴジラの骨から機龍を造ったのは
大きな過ちであり、ゴジラの骨を海に返すように中條に訴えるのだった。

1年前ゴジラと死闘を演じた家城茜、葉山進、関根健二の三人が機龍隊から選抜されアメリカへ留学することとなり、
その壮行会が開かれた。機龍隊の整備士である義人は会場を抜け出し、機龍ドックで小美人の言葉に思い悩んで
いた。 同じく会を抜け出した茜は、そこで義人に「機龍はもう戦いたくないのかもしれない」と告げた。
一方、旧友の五十嵐総理を訪ねた中條博士は、小美人の進言に従い機龍を封印することを勧める。しかし、総理
はかつて東京を破壊したモスラに機龍の代わりをさせることは出来ないと、中條の依頼を断ってしまう。

ゴジラの恐怖が再び日本に迫っていた。九十九里海岸に打ち上げられた巨大生物カメーバの頸部には別の巨大生物
の爪痕が致命傷として残り、米原潜が海中で謎の巨大生物に襲われ消息を絶った。
機龍は八王子駐屯地で修理が進められていたが、共有結合性結晶が手に入らず、アブソリュートゼロの修復は絶望
視されていた。また、防衛庁内部やマスコミの一部では「機龍不要論」も出始めていた。
遂に自衛隊の哨戒機が太平洋上で日本を目指しているゴジラを発見する。護衛艦隊の攻撃をものともせず、ゴジラ
は機龍を目指すかのように東京湾に姿を顕わす。
ゴジラ上陸を知った瞬少年は、学校の校庭に椅子や机を並べインファントの紋章を描く。それに応えるようにモスラが
その姿を顕わす。モスラはゴジラに果敢に戦いを挑んでゆく。

モスラは最後の武器である毒燐粉でゴジラを攻撃するが、圧倒的なゴジラの力の前に劣勢になってゆく。ここにきて五十
嵐総理はモスラを助けゴジラを撃退すべく機龍の出撃を決意する。
機龍の新オペレーター・秋葉恭介、しらさぎの新パイロット如月梓ら機龍隊とともに、アブソリュートゼロの代わりに三連
ハイパーメーサーユニットを装備した機龍が出撃する。
激突する機龍とゴジラ。モスラは機龍をかばってゴジラの熱線を浴び致命傷を負ってしまう。しかし、同じ頃、小笠原諸
島・曾孫島では卵から双子の幼虫が孵り、ゴジラと戦うために東京へ向かっていた。

機龍はゴジラを追い詰めるも、ゴジラの熱線を浴びて駆動系ユニットに重大な損傷を受けてしまう。瞬と中條博士を救
助した義人は、機龍の修理をするために単身機龍に乗り込むのだった。
モスラは幼虫をかばって炎の中に消えていった。幼虫たちは怒りに燃えゴジラを糸で攻撃する。
そして機龍隊の面々や自衛隊も機龍の修理のためにゴジラを牽制する。
ようやく修理が完了した機龍。だが義人はゴジラの熱線のためにハッチが開かなくなった機龍に閉じ込められてしまう。

義人は意を決し、「無事脱出」を嘘の報告をする。再び激突する機龍とゴジラ。2体の戦いは国会議事堂を破壊し、
ついにゴジラは最後の時を迎えようとしていた。
そのとき機龍の中で意識を失った義人は、機龍の思いに触れる。「お前は眠りたかったんだ・・・」
幼虫の吐く糸で包まれたゴジラに最後の止めを刺そうとする秋葉。だが、機龍はまたもコントロール不能になってしまう。

機龍は自らの意思でゴジラを抱きかかえ、日本海溝に向かって飛び去った。その中にはまだ義人が取り残されていた。
如月梓はしらさぎで機龍を追い、義人を救おうとする。バルカンに吹き飛ぶ機龍のハッチ!
そのとき機龍の機体がローリングを開始した。義人が最後に見たモニターには「SAYONARA YOSHITO」の文字が。
義人は機龍を脱し、秋葉に抱えられるようにして海に着水した。同じく機龍とゴジラも日本海溝の底へと沈んでいくのだ
った。2体のゴジラは海底で眠りについた。小美人もモスラとともにインファント島へ去っていくのだった。
だが、人間の手にはまだ、巨大生物達のDNAサンプルが残されていた・・・。

好評を得た前作「ゴジラ×メカゴジラ」を受けて製作された手塚ゴジラ第三弾。前作の完全な後日談となっているのは
ゴジラ映画としては初のこと。また男性が主人王なのも手塚ゴジラとして初である。
冒頭のモスラ登場シーンに始まり、防衛庁が全面協力した自衛隊と怪獣との攻防は見ものである。
同族のゴジラを眠りにつかせ、義人にメッセージを送ったのは果たして機龍なのか初代ゴジラなのか?

ゴジラ・・・・・・・喜多川務
メカゴジラ・・・・中川素州

中條義人・・・金子 昇
秋葉恭介・・・虎牙光輝
如月 梓・・・・吉岡美穂
富樫二佐・・・・高杉 亘
菅野吾郎・・・六平直政
二階堂・・・・・升 毅
神崎・・・・・・・益岡 徹
秋葉 功・・・・清水絋治
五十嵐隼人・・中尾 彬
一柳幕僚長・・中原丈雄
土橋・・・・・・・・上田耕一
マナ・・・・・・・・・長澤まさみ
ヒオ・・・・・・・・・大塚ちひろ
家城 茜・・・・・釈由美子
中條信一・・・・小泉 博

製作・・・・・・・・富山省吾
監督・・・・・・・・手塚昌明
特殊技術・・・・浅田英一
脚本・・・・・・・・手塚昌明
         横谷昌宏
デザインワークス・西川伸司
造形・・・・・・・・若狭新一

音楽・・・・・・・・大島ミチル

ゴジラファイナルウォーズ

「ゴジラ ファイナル ウォーズ」

平成16年(2004)12月4日公開 観客動員数100万人

度重なる核実験や戦争による地球規模の環境汚染で、巨大怪獣たちが目覚め、暴れまわるようになった近未来。
人類はかつてない脅威に対抗するため、国家・民族を超えて一つとなり、地球防衛軍を創立するに至った。
時を同じくして、驚異的な身体能力を有する人類・ミュータントが現れ、彼らは新たな戦闘要員として、M機関という
名の組織に編成された。

人類にとって最大の脅威は怪獣・ゴジラであった。だが、ゴジラは南極における轟天号との死闘の末に、厚い氷の中に
封じ込められ静かに眠っていた。

20XX年、ノルマンディ沖深海にて、ゴードン大佐を艦長とする新轟天号は、マンダとの激しい死闘の末これを倒す。
しかし轟天号に多大な損害を与えたゴードン大佐は軍法会議にかけられ、その場で上官を殴って懲罰房送りとなり、
轟天号のクルーであったミュータント・尾崎真一には、分子生物学者・音無美雪を警護する任務が与えられた。
美雪は北海道沖で発見された未知の怪獣のミイラを調査するために国連から派遣されたのだ。

防衛博物館で二人を向かえた神宮寺八郎博士は、その1万2千年前の怪獣を、機械と生物が融合したサイボーグ
であること、しかもミュータントと同じM塩基を持つことを突き止めていた。
その時三人は突然インファント島へと移動し、そこで出会った小美人からサイボーグ怪獣はガイガンで、1万2千年前
地球で破壊の限りを尽くし、モスラと戦ったことを告げた。また、尾崎には邪悪なるものの血が流れていると警告し、彼
にインファント島に伝わるお守りを託した。

その頃、地球各地に突如怪獣たちが出現し始めた。
国連事務総長・醍醐の乗った専用機を破壊したラドンはニューヨークに、 アンギラスが上海に、キングシーサーが沖縄
に、パリにカマキラス、アリゾナにクモンガ、オーストラリアにジラ、そして東海コンビナートにはエビラが現れた。
また、富士山中にはミニラが現れていた。
地球防衛軍が出動し、怪獣を迎え撃った。尾崎も地上部隊の一員としてエビラ迎撃に参加していた。怪獣たちを追い
詰める地球防衛軍。だが突如現れたUFOの発射した怪光線が怪獣たちを消滅させてしまった。
巨大なUFOでやってきた彼らは自らをX星人と名乗った。
彼らは妖星ゴラスの衝突から地球を守る方法を教えるためにやってきたといい、醍醐事務総長を助けていたことから、
熱狂的に地球に歓迎される。
しかし、ニュースキャスターである音無美雪の姉・杏奈は醍醐に不信感を抱いていた。

醍醐がまばたきをまったくしないことに気がついた杏奈は、美雪と尾崎の協力を得て、醍醐がX星人であることを突き止
めた。しかも、防衛軍司令官の波川までもがX星人に入れ替わられていたのだ。
一方、神宮寺博士はゴラスが立体映像に過ぎないことを発見する。全てはX星人の仕組んだ陰謀であったのだ。
尾崎はゴードン大佐とともに、テレビカメラの前で醍醐がX星人であることを暴く。だが、その場にいたX星人参謀が司令
官を射殺し、自らを統制官と名乗り武力行使で地球を征服することを宣言する。
統制官はミュータント兵を支配下におき尾崎らを襲わせると共に、怪獣たちを再び世界に放ち、地球への総攻撃を
開始した。X星人と怪獣の圧倒的な力により地球防衛軍は成すすべも無く敗北していった。

なんとかTV局を脱出した尾崎たちは、防衛軍基地地下にある轟天号の秘密ドックへと急いだ。今や轟天号こそが
最後の希望なのだ。ゴードン大佐は南極に眠るゴジラを目覚めさせて怪獣と戦わせ、その隙にX星人のマザーシップを
攻撃することを提案する。人類最後の希望「オペレーション・ファイナルウォーズ」が開始された。

南極へ向かう轟天号を、X星人が差し向けたガイガンが追撃する。ガイガンの攻撃に耐えながら、ついに轟天号は南極
でゴジラを目覚めさせることに成功した。ガイガンを一撃で倒したゴジラは轟天号を追って日本へと北上を始める。
X星人統制官はゴジラの進路に次々と怪獣を差し向けるが、どの怪獣もゴジラの敵ではなかった。そしてついにゴジラは
東京にその姿をあらわすのだった。
マタギの田口左門とその孫の健太に連れられていたミニラは、日本に現れたゴジラを見て自らの身体を巨大化させ、
いずこかへと姿を消す。
一方、轟天号もマザーシップへの攻撃を仕掛けていた。ミュータント兵・風間が捨て身で開いた血路から母船内へと
突入する轟天号。だが、船内にテレポートしてきたX星人によって尾崎たちは全員囚われてしまう。

統制官が宇宙から呼び寄せたモンスターXがゴジラに襲い掛かり、救援に駆けつけたモスラには強化改造されたガイガン
が立ちはだかった。

尾崎は統制官との戦いの中で、カイザーとして目覚めた。人類とX星人との混血によって誕生したミュータントの中でも
特に優れた能力を発現することの出来るもの、それがカイザーだった。
同じくカイザーである統制官と尾崎との激しい死闘が続き、ついに尾崎は統制官を倒す。
母船の中に囚われていた
醍醐や並川たちと合流したゴードン大佐たちはX星人たちを倒し、轟天号の奪取に成功する。
統制官とともに自爆した母船から辛くも脱出に成功する轟天号。

X星人が劣勢になったと同時に、改造ガイガンはモスラのファイヤーヒートアタックによって倒され、モンスターXもまたゴジラ
の攻撃力の前に倒れつつあった。
だが、モンスターXは真の姿・カイザーギドラへと変貌を遂げ、逆にゴジラはカイザーギドラによってエネルギーを吸収され
ピンチを迎えてしまう。
尾崎は轟天号に備えられたメーサー機関を利用して、ゴジラにG粒子を放射した。復活したゴジラはバーニングGスパー
ク熱線でカイザーギドラを上空に吹き飛ばし爆散させた。遂にX星人の侵略から地球は守られたのだった。

戦い終えたゴジラは、しかし人類への怒りを忘れてはいなかった。怒りに任せて轟天号を攻撃しようとするゴジラの前に
ミニラが立ちはだかった。そしてゴジラを攻撃しようとする左門たちの前には健太が同じように立ちはだかる。
やがてゴジラはゆっくりとミニラとともに海へと消えていった。

「ゴジラ50周年記念作品」にして「最終作」と銘打って製作されたこの映画は、ゴジラ映画史上にその名を残す傑作と
なった。圧倒的なパワーで怪獣たちを薙ぎ倒していく怪獣王ゴジラの姿には感動すら覚える。過去の東宝特撮映画の
エッセンスをこれでもかと詰め込んだ一大傑作である。
タイトルバックをカイル・クーパー、音楽をキース・エマーソンというビッグネームを起用し、スタッフ陣も圧倒的なボリューム
である。

ゴジラ・・・喜多川務
アンギラス・エビラ・ヘドラ
・・・小倉敏博
ラドン・ミニラ・・・神尾直子
キングシーサー・モンスターX
・・・中川素州

尾崎真一・・・松岡昌宏 
音無美雪・・・菊川玲  
醍醐直太郎・・・宝田明
X星人統制官・・・北村一輝
X星人司令・・・伊武雅刀
風間勝範・・・ケイン・コスギ
音無杏奈・・・水野真紀
神宮寺八郎・・・佐原健二
波川玲子・・・水野久美
小美人・・・長澤まさみ
小美人・・・大塚ちひろ
ダグラス・ゴードン・・ドン・フライ
小室少佐・・・國村隼
熊坂教官・・・船木誠勝
田口左門・・・泉谷しげる

製作・・・富山省吾
プロデューサー・・・山中和成  
アソシエイトプロデューサー
・・・ 鈴木律子

監督・・・北村龍平
特殊技術・・・浅田英一
海外演出・・・高津隆一
脚本・・・三村 渉・桐山 勲
轟天号デザイン:新川洋司
モンスターXデザイン:
寺田克也  
怪獣デザイン:西川伸司  
ガイガン・X星人デザイン:
韮沢 靖
造形・・・若狭新一

タイトルバック:カイル・クーパー
音楽:キース・エマーソン